はじめに

このホームページについて

 このホームページは航空工学等を通して、高校生に数学や物理を使うことの楽しさを伝えることを目的として作成しています。

 高校で数学を教えるものとして、数学の教科書や授業の中で数学を活用することの魅力や面白さを伝える場面があってもいいのではないかと思いますが、残念ながらシステム化されたものはないと思います。数学は大学受験で生徒のほんの一部の能力を測る道具と化してしまい、数学が嫌いな生徒や、例え数学が出来ても活用したいとは思わない生徒を生み出してしまい、申し訳ないという思いしかありません。

 教育課程で伝えようとする数学の魅力にしても、美しいなど抽象的な学問としての数学の魅力ばかりで、活用できる数学の魅力を伝える機会はほとんどありません。たとえ教科書に記載があっても、切れ味が悪すぎて全く面白くない・・・。また令和に始まった大学入試改革では、数学を活用する場面を想定した問題を出題し始めたことから、続く学習指導要領の改訂やそれに伴う新教科書の充実を期待しましたが、非常に残念な結果に終わってしまいました。

 そこで、技術者として数学を道具として使ってきた経験を生かして、活用する数学の魅力を伝えたいと思い、本ホームページにまとめることとしました。航空工学講座で使われている数式やその導出を完全に理解するには、それなりの基礎的な数学力が必要になると思いますが、分かるところや興味のあるところから理解していくことも可能です。

 またM&S講座は、いわゆる教科書の数学が分からなくても直感的に理解することができ、その結果を教科書に書かれた数学の理解にフィードバックできるのではないかと思いまとめました。特に現行の学習指導要領の改訂のタイミングで一人一台タブレットが導入され、このような離散的な数学の履修を始めることができるタイミングだったのではないかと思いますが、残念ながらその視点は皆無でした。次の学習指導要領の改訂までさらに10年かかります。せっかくのタブレットが、ただの筆記用具代わりと化してしまい、大事なことを学べないと、日本の教育が世界から遅れてしまいそうで、絶望的な気がします。

 ということで、今までやってきた取り組みを、逐次本ホームページにアップしていきたいと思います。内容については修正をしながら掲載していきます、突然、構成や記載内容、計算方法が変更になる場合もあるかもしれませんが、ご容赦ください。

航空工学講座について

 本ホームページのメインとなる内容です。航空自衛隊のテストパイロットコースで担当していた空気力学の授業を、何とかして高校生が学ぶ数学や物理だけで教えられないかと思い、完成した講座になります。夏休みや土曜講座等で、希望生徒向けに実施してきました。

 航空機に揚力が発生することを説明するときに用いるベルヌーイの法則を導くためには、運動方程式を積分する方法が一般的だと思います。しかし、積分を教わるのは高校3年生になるため、もっと早い時期に誰でも理解できる方法はないかと考えて、力学的エネルギー保存則から導く方法を見つけました。これをきっかけに、高校生向けの航空工学講座を始めました。また、圧縮性のある流れのベルヌーイの法則についても同じ方法でなんとか導けないかと考え、内部エネルギーまで含めたエネルギー保存則から導く方法を見つけることができました。このときは高校生が習う物理の切れ味に感動しました。

 また物理の教科書や入試問題では、空気抵抗は速度に比例するモデルを紹介することが多いと思いますが、実際には速度の2乗に比例します。このことは次元解析に関するバッキンガムのΠ定理を使って導きますが、道具としてΠ定理は使えても、Π定理を理解して使うことは難しいのではないかと思います。このバッキンガムのΠ定理について、表向きにはΠ定理を使わずに、Π定理が成立する理由を説明している点も、この高校生向け航空工学講座のポイントになります。

 とは言いながら、航空工学については、OJTで勉強しただけですので、もし間違った内容や、もっと違う方法で教えられる方法があれば教えてください。本当は機体運動や飛行制御まで扱いたいと思いますが、微分方程式やフーリエ変換が必要になってくるので高校生には難しいと思います。さらに先の専門的なことについて勉強したいと思って、大学に入学したり就職したりしてさらに専門性を高めてもらえたらと思います。

M&S講座について

 M&S講座はエクセルを使ってモデルを作成して、シミュレーションを行います。エクセルは大変便利な表計算ソフトで、教育レベルでは数値計算との相性もものすごくいいと思います。今までは情報の授業の合間を縫ってコンピューター室を予約して、半期に一度行うのがやっとでした。しかし、一人一台タブレットの導入で簡単に授業でエクセルが使える環境が整ったので、もっと離散的な数学を扱う分野が増えてもいいと思うのですが、学習指導要領はほぼ変化がなく残念な限りです。

 M&S講座では最初に、エクセルに習熟するために関数のグラフを描いたり、積分したり微分したりします。微分や積分は数学で習っていなくても大丈夫です。むしろ先にこちらからスタートした方が、微積分への抵抗がなくなっていいような気がします。

 エクセルの準備が終わったら、さまざまなモデルを作成してシミュレーションを行います。また実データと比較しながら、モデルのチューニングも体験していくことができます。モデルの作成といっても、基本的には少し複雑な漸化式を作って計算するだけです。漸化式は多くの生徒にとって苦手な分野だと思いますが、一般項をとても求めることができないような複雑な漸化式を作って、エクセルを使って簡単にシミュレーションしていくのは、非常に驚く体験になるのではないかと思います。

 また運動方程式を解くことにも挑戦していきます。高校で習う物理では微分方程式を扱えないため、等加速度直線運動や単振動以外の運動では時間軸で運動を調べることは難しいと思います。しかし運動方程式を加速度を計算する式と考えれば、折れ線近似により簡単に積分して時間軸での運動を調べることができます。このことは空気抵抗がある物体の投射運動や、万有引力下での放物運動や三体運動にも応用することができます。誤差の問題等はもちろん残りますが、シミュレーションの原理を理解したり、運動方程式の強力さを理解するには、いい題材ではないかと思います。

ちょっとした工夫で、こんな計算が出来たら楽しくないですかね?

ロジカルシンキング講座について

 この講座は総合的な探究の時間やLHR等で実施してきた内容についてまとめています。ロジカルシンキングについては多数の書籍やホームページで取り扱われていて、難しいものや、頭がいい人のもの、という印象が強いと思いますがそうではありません。ここで扱うロジカルシンキングはシンプルで、MECEとSo Why?/What so?という2つの手法について学び、それらを組み合わせたピラミッド構造を考えるものです。これらについて学ぶことで、小論文作成や討論での活用方法について紹介していきます。

 また最後にフェルミ推定の方法についても紹介しています。フェルミ推定についてもロジカルシンキングと同様に多数の書籍やホームページで紹介されていたり、Google等の入社試験でも問われるなど、地頭がいい人のものというイメージが強いと思います。特に従来の学校教育のように答えがあるものを教えてきた教育では苦手とする分野かもしれません。しかしこれからの時代は、答えがない問いに対して答えを見つけていく力が求められるため、その入り口としてフェルミ推定はとても相性がいい分野ではないかと思い、細々と取り組んできました。主に3つの手法を柱として説明していますが、特に何かで学んだわけではなく、勝手に作ったものですのでご容赦ください。

ALS Reversals

 なぜ突然ALSが出てくるかというと、管理人にALSの疑いがあるからです。まだ診断されてはおらず、違うとは思いますが、日に日に筋肉の萎縮が進み、昨日までできたことが、今日は出来なくなってくるとなかなか恐ろしいものです。このホームページを作成する構想も、自衛隊を退職して教員になったときから持っていましたが、なかなかとりかかることは出来ませんでした、しかし、もしかしたらALSかもしれないという想いが令和6年7月くらいから頭に浮かんできて、万が一に備えて重い腰を上げてホームページ作りに取り組み始めました。

 当初は、ALSのことは取り上げるつもりはありませんでしたが、診察が進み、他の病気の可能性が小さくなっていく中で、ALSの可能性と向き合う必要が生じ、嫌々調べることにしました。そうすると見つかる言葉は、手足の筋肉の萎縮から始まり、最後は呼吸器や食道の筋肉も侵され、自力で呼吸や嚥下できなくなる病気であり、治療法はほんのわずかに進行を遅らせる薬があるだけで、あとは人工呼吸器と胃ろうの開設のみという夢も希望もない病気であるということを改めて知りました。そして、回復した事例も皆無でした。

 一方で、英語で検索すればどうなのかと思い、いろいろと調べてみたら、少なくはない回復事例があり、科学的な検証もなされ、回復者はALS Reversalと呼ばれていることが分かりました。そして、ALS Reversalの研究はDUKE大学のRichard Bedlack博士を中心に行われ、世界中から回復事例をデータベース化しているようです。また、博士の患者にも治療法が試験されていて、一部では成果が上がっているようでした。それらの結果は、デューク大学医学部神経内科付属病院のホームページにまとめられています。

 自分はALSではないと思っていますが、万が一のことを考えたら、これは唯一の希望です。何らかの神経内科系の難病と言われているので、その病気と戦っていかなければなりませんが、戦う手段としては医者の言われる通りに、痛い検査を受け、苦しい薬に耐えるくらいの受け身な戦い方しか方法はないと思っていました。しかし、これらの情報があることを知ることで、自分で調べて考え選択するなど、主体的に戦う手段が見つかったことは本当に希望です。そして、この戦いを少し楽しみに感じるようになりました。できたら日本で最初のALS Reversalになりたいと思いましたが、そのためにはALSの確定診断が必要になります。多くのALSの患者は発症から確定までに2年近くかかっているみたいですが、こんな病気はとっとと治して早く日常に戻りたいので、第一号の名誉は捨てて戦いに勝つことを最優先にしたいと思います。

 また、新たな日本語の情報源として、AMAZONで見つけたナナ ホルト氏の「アメリカで学んだALSをリバースするほどの難病の治し方 食事療法編」から多くのことを学ぶことができました。ここでは、アメリカに在住されるご本人が、ALSを疑われる病気を発症されて集められた情報をまとめられています。ALS Reversals一人一人がどのようにして回復したかの事例が細かく研究されているため、大変励みになる本だと思いました。治療方法をマネするだけなら、この本で十分かもしれません。

 一方で、医学が進んだといわれる日本で、なぜこれだけ情報が制限されているのか不思議でなりません。デューク大学のホームページを読んでみると、研究方法は民間療法やオカルトの類ではなく、科学的に進められ、ALS Reversalが起きている現状も仮説が立てられ検証が始まっています。それらの成果を日本の研究者が知らないわけはなく、なぜこれだけの希望ある情報を患者に伝えずに、絶望だけを伝えようとしているのか本当に不思議です。

 そこで、自分の勉強として、デューク大学のホームページを翻訳して公開することとしました。いろいろな問題があるかと思いますが、われわれの知る権利や生存する権利が最優先されると考えます。

管理人について

名前 舘 弘士

理学部数学科大学院D1中退
 (非可換確率空間での中心極限定理/ランダム行列)
航空自衛隊入隊87期一般幹部候補生
技術幹部として以下の業務を担当
 XF-2技術・実用試験/技術的追認試験
 試験飛行操縦士課程教官
 (数学/物理/運動方程式/空気力学/航空機制御/熱力学/航法システム等)
 米国ライトパターソン空軍基地交換幹部
 高性能FLCC/スマートスキン機体構造の研究試作
平成20年度宇宙飛行士採用試験2次試験不合格
平成20年度某県教員採用試験合格

youtubeチャネル
https://www.youtube.com/@user-bw4ed8rc6m
解説動画とその他の趣味をアップします。

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基本数学には関係ない趣味ですが、ご意見があればこちらにお願いします。

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基本、趣味だけです。