ALSに勝つための作戦(その5)

今ある医療技術でALSを回復させる可能性が一番高いものは、腸内フローラ移植術(糞便移植)だと考えています。腸内細菌叢とALSの関係の仮説は、こちらにあります。

実際、中国では2人の人工呼吸器をつけた患者に試験され、2人とも人工呼吸器を外して、筋肉量も増加したという論文が発表されています。ALSFRS-Rスコアは、15→23と回復しているそうです。人民解放軍の支援を受けているので、データが正しいかは分かりませが・・・。

https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11123505

またイタリアのモデナ大学では42人を対象とした治験が行われています。期間は10月末までなので、まもなく成果が明らかになるのではないかと思います。

https://clinicaltrials.gov/study/NCT03766321

他にもアメリカのFacebookコミュニティでALS患者が腸内フローラ移植術を行った方の投稿が見つかりました。アメリカでは腸内フローラ移植術はCDiff病にしか認められていないそうですが、彼女はALSとCDiff病の両方になっていたため、腸内フローラ移植術が認められたそうです。彼女の場合、ハイキングができるまで回復したそうですが、長くは続かず、5ヶ月で車椅子に戻ったそうです。研究者に聞いてもらったのですがか、定着は腸内フローラ移植術の課題のようです。

いずれにしても非常に希望のある方法だと思いますので、真剣にやってみたいと考えています。とりあえず、腸内フローラ移植術を推進している団体とやり取りしていて、やってくれるとの回答をいただいています。ちなみに日本では一人だけALS患者に対して施術したことがあるそうですが、術後の効果は記録されていないようです。

問題は、中国やイタリアは内視鏡を使って、それぞれ下から回腸と上から十二指腸に入れるのに、日本はおしりから注射するだけ。大腸全体にちゃんと定着するのか心配です。

他人のう〇こを体内に入れるとか、抵抗があると思うかもしれませんが、生き残るためならそれくらい喜んでやります。

ALSに勝つための作戦(その3)

ALSに勝つための作戦(その3)

正直、グルテンフリーかつ化学調味料と糖分を極力カットで一時期調子が良かったので、行けると思っていましたが、ここ1週間の進行が早すぎた。本当にALSはクソみたいな病気です。かなり弱気です。

こんな病気に負けたくないので、Bill Procotolのサプリが届いたので飲み始めました。すごい量だけどこれでもミニマムです。

さらにHealingALSというサイトが見つかりました。これはリバーサルのデータを集約したサイトで、1年かけてデータを見て勉強して、何年もかけて治しなさいというサイトです。今やっていることとはおなじ方針だけど、具体的な指示はない。

Home – Healing ALS

こんなクソみたいな病気はとっと治したいので、Bill protocolでスタートダッシュしながら、HealingALSでじっくり治していきたい。

久しぶりにプラットホーム山県にいったら、シビエ肉をめちゃくちゃサービスしてくれました。前回も鹿肉食べたら、翌日調子が良かったので、明日に期待したいです。

ALSに勝つための作戦(その2)

前回、ALSに勝つための作戦を投稿しましたが、その後、アメリカで実際にALSをリバースされたBillさんとつながることができたので、作戦を少し変更しました。Bill Brennan – ALS Health Coach

Billさんは、自身が研究した栄養学等の観点をまとめて、リバースするためのBill Procotolを作成して公開しています。また500ドルで90日間の個人指導をしてくれるそうです。騙されているといわれるかもしれませんが、他に頼るところもなくベストを尽くすためにBillさんの個人指導を受けることにしました。Bill Protocolの基本はいかいして腸内細菌叢を修復するかを元にして作成されているので、基本的な方針は変わりません。これを知るだけで500ドルの価値はあったと思います。

Billさんの指導では40人リバーサルできたと主張しています。また他のコーチを受けている人(まだリバースしていない)の投稿でも参加者の20%がリバースしたと言っています。プロコトル等の日本語訳もしましたが、公開はやめておきます。興味のある患者または関係者の方は、FacebookからDMで連絡をください。

とりあえず、大量のサプリを購入しました。出費が辛いですが、リバース出来たら安いものです。食事もかなり制限します。

体調がかなり悪化してきました。正直、食事療法を始めてから最初の1週間でかなり良くなりました。そのことでかなり、楽観的になっていました。しかし、体幹周りや左腕が急に悪化してきて、いつまで自立して生活できるか、かなり不安になってきました。

今後どうしていけばいいかわらないですが、福祉を頼る方法を模索しながら、リバースするこちを絶対にあきらめずに、頑張りたいと思います。

ALSとの戦いに勝つための作戦

 ALSは回復しない病気と言われています。結果的に長生きされる患者もいらっしゃいますが、人工呼吸や胃ろうの増設が必要になり、回復や完治した事例は日本では知られていません。しかし海外に目を向けてみると、61名の回復事例が知られていてデューク大学で研究が進められていることを知りました。座して死を待つことだけは絶対にしたくないので、ALSとの戦いに対して、どうやったら勝機を見出せるかについて、素人なりに考えた現在の状況をまとめました。

ALS発生のメカニズム(仮説)

 デューク大学で立てられているALS発生の仮説は腸内細菌叢の乱れが神経変性を引き起こしているというものです。これは動物実験の結果から示唆されるものですが、同様の神経変性疾患であるパーキンソン病やアルツハイマー病でも、添付画像のように腸内細菌叢の乱れが神経変性を引き起こしていると考えられ始めているそうです。これと同様な過程がALSでも成り立つのではないかとデューク大学の研究者は考えているようです。以下の解釈は、友人の著名な生物学者に手伝ってもらいました。※細部はALS 第1章 ALS Reversals (kagoyacloud.com)を確認してください。
※10月25日 1を少し修正しました。

〇腸内環境の乱れ(腸内細菌叢の異常)
腸内環境が悪化すること(腸内細菌のバランスが崩れること)により、抗炎症性のトラックス(Torax)や酪酸産生トラックスの機能が低下し、炎症性のトラックスやサイトカイン、LPS(リポ多糖)、BMAA(神経毒物質)などが増加する。

〇腸のバリア機能の低下
腸のバリア機能が損なわれ、腸の透過性が増加します。これにより、腸内の微生物やその代謝産物、炎症性因子が全身循環に乗って増加します。

〇血液脳関門(BBB)の透過性増加
腸の透過性が増加することで、血液脳関門も透過性が上がり、炎症性因子が脳に到達しやすくなります。

〇神経系のタンパク質の蓄積とミスフォールディング
腸の神経系(ENS)において、α-シヌクレインやβ-アミロイドの蓄積が起こり、これが中枢神経系(CNS)にも波及し、同様のタンパク質のミスフォールディングと蓄積が進行します。

〇神経炎症と神経変性
炎症性因子が脳で炎症を引き起こし、最終的に神経変性が進行します。具体的には、パーキンソン病(α-シヌクレインの蓄積)やアルツハイマー病(β-アミロイドの蓄積)などが引き起こされ、ALSの発症メカニズムに関連します。

腸内細菌叢の乱れがきっかけとなり、神経細胞に異常物質の蓄積が起きていることが主張されています。このため、腸内細菌叢の乱れを修復することと、神経細胞の修復が必要と考えました。

腸内細菌叢の修復

 デューク大学ではALS Reversalsの食事の研究について重要だとの指摘がありましたが、いつ何を食べたかを記録することが難しいことから、具体的な方法は記載がありません。一方で、独自でALS Reversalsを研究された方が本を出版されていて、具体的な食事について詳しく書いてありました。

 他にも腸内細菌の本がたくさん出版されているので、何冊も読んでいますが、ナナホルトさんが書かれたALS Reversalsの食事は理に適っていることから、本に記載された方法をできる限り真似した食事療法を始めました。具体的には著作権にかかわる内容ですので本を読んでください。とりあえず、大好きなジャンクフード・炭酸飲料・コンビニスイーツは一切食べていません。

 とにかく腸のバリア機能が損なわれ透過性が増した腸のことをリーキーガッツと呼ぶようですが、これを止めることが最優先ではないかと思います。

 また、腸内洗浄という医療行為があり腸内細菌叢をリセットできるのでとても興味がありますが、必要な菌まで洗い流してしまう可能性があるので躊躇しています。今度腸内細菌の検査キットを使ってみて、結果が悪ければやってみようかと考えています。

神経細胞の修復

神経細胞の修復の候補としては、

①ロゼバラミン
 9年ぶりに認可されたALS治療薬です。従来の治療薬であるリルゾールが平均2か月の延命が期待できることに対して、ロゼバラミンは20ヶ月と圧倒的な効果が期待されます。また薬自体に神経細胞の修復作用があるそうです。市場に供給されるのは11月くらいからで、できるだけ早く処方してほしい。
「ロゼバラミン®筋注用25mg」:2024年 | エーザイ株式会社 (eisai.co.jp)

②セラクルミン
 デューク大学でのALS Reversalsの研究の中で9名のReversalがクルクミンを摂取していたらしい。クルクミンはターメリック(うこん)に含まれる物質であり、粒子を細かくして、水溶性を高めたものがセラクルミンである。治験では効果がなかったものの、副反応が少なく容易に取得でき、神経の修復効果が期待できることから9月末から服用している。食事療法との相乗効果を期待している。 
ALS 第3章 ROARプログラム 

③アッカーマンシア菌

アッカーマンシア菌は腸内細菌の本では注目されている菌であり動物実験レベルではALSとの相関が確認されている。ネットでたまたま売っていたので、試しに摂取してみる。

その他

 自分の病気にかかわる話なんで、情報を公開するのはどうかという意見もあるかもしれませんが、出来る限り多くの方に知ってもらいたい知恵を出してもらいたいと考えます。

 またALSだからといって、完治を目指す権利と根拠があることを知ってもらいたいと思います。僕がやろうとしていることは代替療法や民間療法になると思いますが、それらはALSガイドライン(99ページ)では否定的に書かれています。科学的な根拠がないわけではなく、可能かどうかは別として、可能性がある方法だと思うので、医師と話し合いながら進めていきたいです。als_2023.pdf (neurology-jp.org)

 こうやって自分が主体的に生き残る手段を考えることで、楽しくなってきます。これが本気の大人の探究活動です。

 絶対にあきらめない。

ALSとの戦いの始まり

本日検査結果の説明がありALSと診断されました。ALS診断ガイドラインにも書いてありましたが、医師にとっても告知が難しい病気であり、非常に丁寧に説明をしていただきました。岐阜県総合医療センターに入院して良かったです。

針筋電図や神経伝達検査でも神経の異常が認められ、関連する病気の可能性も否定されたので、セカンドオピニオンを聞くまでもなく受け入れるしかありません。

予後については、回復することはなく筋肉が萎縮していき、最後は呼吸ができなくなり死に至ります。そのため、人工呼吸器を取り付けるかどうかをあらかじめ考えておく必要があります。

全く夢も希望もない残酷な病気ですが、覚悟はしていて、ガイドラインを読んで予習していたので特に驚く事はありませんでした。

正直、この戦いからは逃げたかったのですが、逃げ切れなかったので戦うしかなくなりました。むしろ戦う気は満々で、ALSが治せる病気だと言うことを証明することが、僕に課せられた使命ではないかとかっこよく解釈しています。(笑)

ALS reversalの事をずっと探究してきて戦う準備は整っています。まさに大人の命をかけた探究活動です。特にメコバラミンという強力な武器も間もなく戦線に投入されます。この戦いに負ける気は全くしないので、また治ったら遊んでやってください。またご迷惑をおかけする皆様、大変申し訳ありませんがしばらくご容赦下さい。

ALS治療薬

「筋萎縮性側索硬化症(ALS)診療ガイドライン2023」によると、ALSで承認された治療薬にはリルゾールとエダラボンの2種類があり、リルゾールは生存期間を2~3か月延長し、エダラボンはALSFRS-Rの低下を33%抑制する効果があるらしい。でも、どちらの薬も進行を遅らせるのみで、症状を改善する効果はないと書いてある。

 令和6年の9月、この2つの薬にメコバラミンが追加されたらしい。ルリゾールの認可は平成11年3月、エダラボンは平成27年6月なので9年ぶりの新薬登場になります。ちなみにリルゾールの2~3か月の延命効果に対して、メコバラミンは20か月の延命効果があり、さらに神経細胞の回復効果も期待できるとか。徹底した食事療法を始めて、腸内細菌叢も準備万端なんで、絶対に回復できると思う。供給開始は11月くらいということみたいだけど、一日も早く処方してほしい・・・。

 よく読むともともと平成27年には一度治験が終了して承認申請をしているけど翌年には一度取り下げをしているらしい。効果が不明確だったのが、発症後1年以内の患者に限れば高い効果があることが判明して、製薬会社ではなく医師主導による追加治験を開始したみたいです。素人には分かりませんが、会社主導ではなく医師主導の治験は相当大変なようです。頭が下がります。

 それにしても、追加治験でも偽薬試験をやっているけど、本当に必要なのかなぁと思います。メコバラミンが投与されたのは65人で、偽薬が投与されたのが64人なんで、同数の被験者で治験を行うことがルールかもしれませんが、過去の別の薬剤の治験データや最初の治験データが活用されたら、64人×20ヶ月=延べ1280月は延命できたのではないかと思います。前提条件がわずかに違うからダメだと言われると思いますが、こういう役人的な発想が航空機の開発を含めて、日本の足を引っ張っているような気がします。

 これは治験に対する批判ではなく、制度に対する批判です。

ALS様症状

ALSと診断されたわけではありませんが、治ったときのために今までの症状をまとめておきます。

3月下旬 首に痛みを感じ始める。最初はポロシャツのタグが当たる違和感だと思い、タグを切るが回復せず。

5月上旬 脊柱管狭窄症を疑い整形外科で検査を受け、首の狭窄は認められるが筋委縮になるほど酷いものではないとの所見である。セカンドオピニオンを含めて首、背中、腰の3か所を合計5回撮影する。

6月上旬 背中が痛くなり、背筋を伸ばせなくなり歩く際は常時猫背になる。また握力が25kgまで低下している。(普段は50kg以上)

7月上旬 筋力の低下が顕著になり、症状が背中の痛みから易疲労性や呼吸、咳、歩行時の違和感に変化する。歩くときは50mおきに休憩が必要である。

7月中旬 授業で大きな声が出せなくなり、上記症状が悪化する。歩くスピードは健康時の4分の1程度である。

8月上旬 握力は20kgまで低下するが、神経内科にて筋電図検査/抗体検査を受けるが異状は認められないず。神経内科としては異常がないため、心療内科等の受診を勧められる。

8月下旬 病院を変え針金電図/MRI/抗体検査を受けるが異状は認められず。

9月上旬 筋電図検査/MRI/抗体検査等を受けても異状は認められないことから、医師からALSの可能性を告げられる。ただし、進行がとても速いのでALSでの可能性は低いと思われるとの所見である。いずれにしても、何らかの運動ニューロンにかかる病気は間違いないと考えて神経内科で検査を進めることとなる。

9月上旬 「アメリカで学んだALSをリバースするほどの難病の治し方」から学んだ食事療法を開始する。

9月23日 今まで、日に日に悪化していた体調が初めて前日よりも回復し、体感で8月上旬程度の状態にまで戻り、歩く速度が向上した。デューク大学が効果を認めたセラクルミンの服用を始める。この週は、このまま治っていくような自信があった。

10月1日(現在)の症状 先週はもう治るかなと、楽観視していましたが、そうはうまく行きませんでした。とは言っても少し前に比べたらまだまだ元気なので、まずは進行を確実に止めたいと思います。

病状
・肩から上腕にかけての筋委縮が顕著であるが、腕や手の筋委縮はあるものの顕著ではない。
・下半身や足の筋委縮は感じない。
・大きな咳や深呼吸が出来ないため、体幹周りの筋委縮が進んでいると想像している。
・歩くのが難しいのは、単なる足の筋委縮ではなく、体幹周りの筋肉の萎縮が進んでいることから、姿勢を維持することが難しいと想像している。腰を90°曲げれば自由に歩ける。
・体重は2月に比べて10kg減り、筋肉量は7→4に減少しているが、おなかは出ている。また内臓を支えられないためか、背中を垂直にすると、右わき腹が痛い。
・体中がぴくぴく痙攣する。
・食事の際には手が震える。
・比較的、元気である。

生活
・掃除や簡単な調理等の一定時間の体を使った作業は不可能である。
・1つの体を使った作業ごとに、十分な休憩が必要である。
・A4のファイルですら重く動かすのが苦痛であり、パンチャーも体重をかけないと孔を開けられない。
・パソコンの操作はストレスを感じない。(9月中旬はマウスに手を動かすのが苦痛)

筋委縮の状態(ここから回復してやる)

芸能人格付けチェックをチェックする(その2)

 前回は芸能人格付けチェックで正解数が少ないことを知って、2枚買った宝くじが2枚とも当たるくらいの確率であることを確認してみました。もう少し深堀してみたいと思います。 

 もう一度、この表を見てみます。すると、全問不正解で写す価値なし(番外)となったグループが49もあることが分かります。毎回5問に挑戦しているので、勘で答えても全問不正解になる確率は1/32になります。181チームが勘で挑戦したら、181×1/32=5.7から、全問不正解のグループ数はだいたい6グループになります。

そこで前回と同様に、次の問題を考えます。

 181グループが2択の問題5問に勘で答えたとき、全問不正解のグループ数が49以上となる確率を求めよ。

 勘で答えたときに全問不正解になる確率は、1/32であることから、全問不正解のチーム数が49以上になる確率は、次のように表すことができます。

$${}_{181}C_{49}\left(\frac{1}{32}\right)^{49}\left(\frac{31}{32}\right)^{132}+{}_{181}C_{50}\left(\frac{1}{32}\right)^{50}\left(\frac{31}{32}\right)^{131}+\cdots+\left(\frac{1}{32}\right)^{181}$$

になります。数列の\(\Sigma\)記号を使えば、次のように表現することができます。

$$\sum_{i=49}^{181}{}_{181}C_{i}\left(\frac{1}{32}\right)^{i}\left(\frac{31}{32}\right)^{181-i}$$

 Wolfram Alphaに頼って計算すれば、だいたい\(1.56×10^{-31}\)という値になります。
sum(combination(181,i)*(1/32)^i*(31/32)^(181-i),(i,49,181)) – Wolfram|Alpha (wolframalpha.com)

 その1で計算した確率\(3.60×10^{-14}\)の2乗よりもはるかに小さい値になっています。宝くじで考えると宝くじを4枚買ったときに4枚とも当たる確率よりも小さな値になります。またガンジス河にある砂粒の数が\(10^{20}\)個という推定(恒河沙という位は\(10^{52}\)を表し、ガンジス河のほとりの砂粒の数を意味しているといわれていますが、ちょっと盛りすぎです。)がありますが、その逆数よりもはるかに小さい値です。

 つまりガンジス河(どうせなら地球上)に落とした砂粒1つを見つける確率よりもはるかに小さい確率ということになります。僕らは神仏でしか起こせないような奇跡を今目の前で目撃しているのです。浪漫がありますよね。さらにこの奇跡を伸ばしていってほしいと思います。

(その1)と(その2)を共通テスト風対話形式の授業教材にしたものが次のファイルです。

芸能人格付けチェックをチェックする(その1)

 定期的に、芸能人格付けチェックという番組で、2択の問題で某芸能人が連勝記録をのばしていることが話題になっています。手元にある記録では76連勝でした。

 とりあえず、その芸能人がどれだけの正解率をもっていないといけないかを考えてみましょう。76連勝だから100%というご意見もあると思いますが、本人は答えを知っていない以上、不正解を選択する可能性が必ずあります。そのため、まず各問題の正解率を\(p\)としておき、仮定の下で、\(p\)の大きさを評価したいと思います。

 まず、5%くらいの確率でこの奇跡が起きていると仮定します。すると \(p^{76}=0.05\) を解いて、\(p=0.961\)くらいの正解率がないと5%の確率であっても76連勝は達成できないことになります。

 さらに、50%くらいの確率でこの奇跡を起こせるくらいの実力があると仮定します。すると \(p^{76}=0.50\)を解いて、\(p=0.991\)くらいの正解率がないと50%の確率であっても76連勝は達成できないことが分かります。

 もっと余裕で95%くらいの確率で76連勝を起こせるくらいの実力があると仮定します。すると \(p^{76}=0.95\)を解いて、\(p=0.999\)くらいの正解率がないと95%の確率で76連勝は達成できないことになります。

 超高級な一流品と量販品みたいなものの比較とは言え、一流品と量販品を区別する客観的な基準も無いようなものもが多く、個人の嗜好に左右されそうなものばかりなのに、この正解率を達成するとは凄いですね。さすが一流芸能人です。

 よくよく調べたら、wikipediaに過去データが乗っているので、ちょっと簡単な数学を使って探究してみようと思います。

 とりあえず、データをまとめたら次のようになりました。全部で21回放送されて、340チームが挑戦しています。番組では5問出題されて全問正解なら一流芸能人、一問だけ間違えたら普通芸能人、全問不正解なら写す価値なしとランクされますが、表では著作権に配慮して、横綱、大関、・・・、番外としています。もともと授業教材から流用しているので、芸能人番付チェックという架空の番組を想定しています。

 まず気が付いたことは正解率の低さです。のべ181チームが毎回5問の問題に挑戦しているので、のべ905問に回答したことになります。一方で横綱(一流芸能人)だと5問正解、大関(普通芸能人)だと4問正解となるので、正解した問題数は340問になります。つまり正解率は、\(340/905=0.376\)になります。コイン投げや勘で答えたとしても、確率0.5で正解すると思いますが、それよりもはるかに小さい数です。この数字をもう少し調べてみましょう。

 具体的には、次の問題を考えます。

 2択の問題905問に勘で答えたとき、正解数が340問以下となる確率を求めよ。

 ここで340問とせずに340問以下としたのは、ピンポイントで340になることは珍しいので、より起きにくい正解数が339問や338問・・・のケースを含めた確率で計算した方がいいと考えて、そのように設定しました。

 正解数が340になる確率はまさに条件付確率を使えば次のように表すことができます。

$${}_{905}C_{340}\left(\frac{1}{2}\right)^{340}\left(\frac{1}{2}\right)^{565}$$

 こんなの手では計算できませんが、Wolfram Alphaというサイトを使えば簡単に計算できます。だいたい\(1.45×10^{-14}\)という値です。
 combination(905,340)*(1/2)^340*(1/2)^565 – Wolfram|Alpha (wolframalpha.com)

 求めたいものはさらに正答数が少なくなった場合の確率を足し合わせて、

$${}_{905}C_{340}\left(\frac{1}{2}\right)^{340}\left(\frac{1}{2}\right)^{565}+{}_{905}C_{339}\left(\frac{1}{2}\right)^{339}\left(\frac{1}{2}\right)^{566}+\cdots+\left(\frac{1}{2}\right)^{905}$$

になります。数列の\(\Sigma\)を習っていたら、次のように表現することもできます。

$$\sum_{i=0}^{340}{}_{905}C_{i}\left(\frac{1}{2}\right)^{i}\left(\frac{1}{2}\right)^{905-i}$$

 こんなのは手計算ではとてもできませんが、やっぱりWolfram Alphaというサイトを使えば簡単に計算できてしまい、だいたい\(3.60×10^{-14}\)という値になります。
sum(combination(905,i)*(1/2)^i*(1/2)^(905-i),(i,0,340)) – Wolfram|Alpha (wolframalpha.com)
先ほどの値と比較して、さらに339項を足しても桁は変わらないというのがなかなか凄いと思います。より正解数が小さくなると確率はさらに小さくなるのでその影響がいかに小さいかということです。

 勘で答えたら、半分位の452問くらいは当たることが期待できますが、この番組では340問となっています。仮に勘で答えたときに、正解数が340問以下となる確率は、\(3.60×10^{-14}\)です。だいたい宝くじの1等に当たる確率が\(10^{-7}\)位と言われています。つまり、大雑把に言って、宝くじを2枚買ったら2枚とも1等が当たったような奇跡を、日本中が共有していることになります。すごくないですか?!

 奇跡はこれだけにとどまらないので、その2に続きます。